工務店

工務店が不動産業に参入する動きが増えている理由

地域密着で家づくりを支えてきた工務店は、少子高齢化による新築着工数の減少という逆風の中でも、住まいにまつわるあらゆる課題をワンストップで解決できる事業体へと進化しつつあります。近年は地価の上昇や資材価格の高騰が続き、エンドユーザーは「土地・建物・資金計画」を一体で検討する傾向が強まっています。これに呼応して、
・土地の仕入れからプラン提案までを一貫提供できる
・建築請負と仲介手数料をセットで収益化できる
・自社設計施工の自由度を最大限反映できる
といった理由で、不動産業参入に踏み切る工務店が急増しています。さらに、2025年4月に改正された「住宅省エネ性能表示制度」では、中古住宅の省エネ評価ラベル取得が売買時のプライス形成に直結し、リノベーション提案力を持つ工務店が不動産売買の前面に立つ意義が一段と高まりました。

地方都市では空き家対策特措法の強化を受け、自治体が老朽危険空き家の利活用を民間企業に委ねるケースが増えています。工務店が行政と連携して再生事業を行うことで、固定資産税の減免や補助金を活用しながら「地域貢献 × 収益化」を実現できる点も参入が加速する背景と言えるでしょう。

工務店が不動産業に参入するメリット

  • 【顧客体験の向上】
    土地探し段階から顧客の理想をヒアリングし、建築プランと同時に資金シミュレーションまで提示できるため、「イメージギャップ」や「予算オーバー」を未然に防げる。
  • 【利益率アップ】
    仲介・買取再販や分譲開発の利益を建築利益に上乗せでき、粗利率が平均3〜4ポイント向上。
  • 【仕入れ競争力の強化】
    自社ブランドで建築条件付き土地を販売する場合、設計自由度をアピールしやすく、在来工法やSE構法など得意工法の受注比率を高められる。
  • 【長期顧客化】
    土地購入後のカーポート増設や太陽光設置、将来的な間取り変更リフォームまで継続提案しやすく、LTV(顧客生涯価値)が最大化。
  • 【地域連携強化】
    不動産ネットワークを通じて金融機関・司法書士・行政書士との連携が深まり、補助金申請や住宅ローン付帯サポートで競合優位を確立。

不動産業への参入方法とその特徴

工務店の参入ルートは大別して3つあります。

① 独立開業型
自社で宅建業免許を取得し、社名やブランドを前面に出して仲介・分譲を行います。自由度が高い反面、法務・財務・ITの各領域で独自にスキームを構築する必要があり、立ち上げに12〜18か月を要するケースが一般的です。

② M&A型
既存不動産会社を株式譲渡または事業譲渡で買収し、人的リソース・ノウハウを一括で取得します。早期に取引実績を得られますが、デューデリジェンス費用やPMI(統合プロセス)で想定外コストが膨らむリスクがあります。

③ フランチャイズ加盟型
本部が提供する業務フロー・ITインフラ・広告テンプレートを活用しつつ、自社の強みを前面に出せるハイブリッド型。加盟後3〜6か月で営業開始できる例が多く、宅建士資格取得支援重説電子化システムを利用できる点が魅力です。

参入時に注意すべきポイント

  • 建築請負契約と売買契約の責任範囲を明確にし、アフターサービス規程や保証期間が重複・欠落しないよう法務チェックを行う。
  • 土地決済・着工・引き渡しのキャッシュフローを日単位で管理し、つなぎ融資や手形決済による資金ショートを防止。
  • インスペクション結果を売主・買主双方に適切に開示し、瑕疵担保責任や住宅性能表示制度との整合性を確保。
  • 仲介と請負の営業評価を分けずにKPIを設定するとインセンティブが複雑化するため、部門間で目標指標を統合した運用ルールを策定。
  • 重説オンライン化に伴い、ITリテラシー格差による手続き遅延を防ぐため、高齢顧客向けの対面フォロー体制を残す。

不動産業に参入するならフランチャイズ加入がおすすめ

フランチャイズ本部は、集客用ポータルサイト掲載・SNS広告・チラシデザインといった販促キットをパッケージ化しています。さらに、物件査定AIやリフォーム費用自動積算ツールなどのデジタルソリューションを提供し、営業の時短と精度向上を両立。加盟初年度に重点研修を受けることで、宅建業法改正点インボイス制度対応など最新制度を網羅的に習得可能です。加盟金・ロイヤリティは発生しますが、失敗コスト・機会損失の削減という観点で高ROIが見込めるため、特に人的リソースが限られる中小工務店に最適な選択肢となります。

まとめ

工務店が不動産業に参入する流れは、市場環境の変化に対する戦略的適応と言えます。土地探しから設計施工、アフターサービスまでを一気通貫で担うことで、顧客は複数業者を渡り歩く手間が省け、工務店側は案件化率と顧客単価を大きく引き上げられます。独立開業やM&Aも有力ですが、短期間で業務基盤を整えられるフランチャイズは、事業リスクを抑えつつ参入スピードを上げたい企業にとって極めて有効です。

今後、脱炭素や空き家再生といった社会課題が深刻化するなかで、地域工務店が不動産領域へ踏み出す意義はさらに高まるでしょう。自社の強みを活かしながら持続的成長を実現するために、今こそ参入を本格的に検討してみてはいかがでしょうか。

不動産フランチャイズおすすめ3選

フランチャイズ加盟における大きなメリットであるブランド力を備えたおすすめのフランチャイズブランドをご紹介。あなたはどのような思い・目的でフランチャイズ加盟を検討していますか?ぜひ、自分の状況に近いものから適した本部で成功を掴んでください。

事業を拡大させたい
ハウスドゥ

引用元:ハウスドゥ https://fc.housedo.co.jp/

なぜおすすめ?
  • 多店舗展開の実績を唯一記載し、6社に1社が複数店を出店している(※1)
  • 設立15年あまりで700店舗以上へ事業拡大した(※2)経営ノウハウを得て早期に多店舗展開を目指せる
加盟金 165万円(税込)
保証金 70万円(不課税)
月額ロイヤリティ 完全固定ロイヤリティ制度:月額固定11万円(税込)
その他費用 記載なし
経営の安定を図りたい
センチュリー21

引用元:センチュリー21 https://fc21.net/

なぜおすすめ?
  • 無理のない負担でブランド力を得られるよう、売上額に応じた変動制ロイヤリティ
  • 創業40年、国内1,000店舗の実績で国内認知度70%到達。(※3)集客効果が期待できる
加盟金 地域によって異なるため要問合せ
保証金 記載なし
月額ロイヤリティ 記載なし
その他費用 記載なし
賃貸営業の質を上げたい
エイブル

引用元:エイブル https://www.able.co.jp/fc/

なぜおすすめ?
  • 総店舗数の半数以上が直営店(※4)で実践的な対応ノウハウを得られる
  • 店舗拡大時に任せられる人材が育つ、9か月に及ぶ店長育成プログラムを開催
加盟金 記載なし
保証金 記載なし
月額ロイヤリティ 記載なし
その他費用 記載なし
※1 参照元:ハウスドゥ公式(https://fc.housedo.co.jp/reason/royalty/data/)2024年6月末時点。
2024年5月23日、Googleにて「不動産 フランチャイズ」と検索し表示されるブランド26社のうち、唯一、多店舗出店に関する実績を記載していることを確認。
※2 参照元:ハウスドゥ公式(https://fc.housedo.co.jp/reason/royalty/data/)2024年7月末時点
※3 参照元:センチュリー21公式(https://fc21.net/reason/brand.html)2024年6月21日参照時点
※4 参照元:エイブル公式(https://www.able.co.jp/fc/)2024年2月時点