外壁塗装

外壁塗装業が不動産業を併設する動きが増えている理由

国交省の調査によれば、戸建住宅の平均築年数は31年を超え、築40年を超えるストックも年々増加しています。外壁は雨風や紫外線にさらされることで塗膜が劣化し、クラックやチョーキング現象が発生しやすいため、定期的な診断と再塗装のニーズは今後も右肩上がりで推移すると見込まれます。現場診断の際には、所有者から「売却を視野に入れている」「相続を機に空き家管理をどうするか迷っている」といった相談を受けるケースが多く、塗装業者がこうした物件情報をいち早くキャッチできる点が大きな強みです。取得した情報を活かし、塗装工事と不動産仲介・買取再販をワンストップで提供すれば、施工利益＋仲介手数料＋再販益を同時に獲得でき、従来の単価を大幅に上回る高収益モデルを構築できます。さらに、2024年に復活した住宅エコポイント制度では、遮熱・断熱塗料を採用するとポイント還元が受けられるため、省エネリフォームを絡めた資産価値向上提案がしやすくなり、塗装＋売買の同時提案が消費者メリットを最大化する追い風となっています。また、空き家対策特別措置法の改正で「管理不全空き家」に指定されると固定資産税の優遇措置が外れるため、所有者は売却や利活用を急ぐ傾向にあり、外壁塗装業者が不動産サービスを併設する意義は一層高まっています。

外壁塗装業が不動産を併設するメリット

• 【物件価値向上による高額売却】
  塗装工事で外観を刷新し、カラーシミュレーションを用いてデザイン性を高めたうえでインスペクション適合証明を取得すると、査定額が5〜10％上昇する事例が多数報告されています。加えて、遮熱塗料や断熱塗料の導入により年間光熱費が低減するデータを提示できれば、買主の購入意欲がさらに高まり、価格交渉を優位に進められます。
• 【買取再販の粗利確保】
  市場価格より低く仕入れた築古物件を自社塗装でコスト圧縮し、外装・水回りを中心にリフォームを施したうえで販売すると、粗利率20％超を実現しやすくなります。販売活動では自社の施工実績を事例として紹介できるため、ブランド認知向上にも寄与します。
• 【定期点検とストック収益】
  売買契約後も外壁・屋根点検を年次契約で受託し、再塗装時期の提案や小修繕を継続受注できます。さらに、防水工事や屋根葺き替えなど関連工事をパッケージで提案すれば、長期的なストック収益を確保できます。
• 【宣伝効果】
  工事中は足場シートに自社ロゴ入り養生幕を掲示し、近隣住民へダイレクトに認知を拡大できます。販売開始後は物件紹介サインにも施工会社として社名を併記できるため、工事中・販売中の両フェーズで広告露出を高められます。
• 【環境貢献アピール】
  遮熱・断熱塗料を採用した物件をゼロエネ塗装住宅としてブランディングし、一次エネルギー消費量削減効果を数値化して提示することで、環境意識の高い買主や投資家を獲得できます。近年拡大するESG投資の流れにも合致し、企業イメージ向上に直結します。

不動産部門併設の方法と特徴

併設方法は大きく三段階に分かれます。第一段階では「空き家管理サービス」を提供し、定期巡回・除草・郵便転送などを行いながら所有者との信頼関係を構築します。第二段階で宅建業免許を取得し、仲介業務を始めて物件取扱量を増やします。第三段階では自社買取再販に挑戦し、外装リフォームをセットにした高付加価値商品として販売します。拠点を複数持つ塗装会社は、フランチャイズ加盟により1拠点目で確立したオペレーションをマニュアル化し、スタッフ研修やITシステムを横展開することで短期間にスケールアップできます。

併設時に注意すべきポイント

• 【保証制度の整合性】
  塗装保証5〜10年と売買後の瑕疵担保責任（改正後は契約不適合責任）でカバー範囲や免責条件が重複・抜け漏れしないよう、契約書別紙に保証内容を一覧化し、買主・売主双方に説明するフローを整備します。
• 【広告表示規制】
  外壁・屋根の遮熱性能や耐久年数を謳う際は第三者機関の試験データを引用し、景表法・宅建業法の広告規制を順守します。過度な断熱効果を標榜すると行政指導を受けるリスクがあるため注意が必要です。
• 【情報共有】
  現地調査で取得した劣化診断データ（クラック幅、含水率、コーキング硬度など）をクラウドで一元管理し、査定担当者が即座にアクセスできる仕組みを整備することで、見積精度とスピードを高めます。
• 【契約スキーム】
  買取再販案件でリフォームローンと住宅ローンを併用する場合、金融機関への事前相談と工事内容の適格判定が必須となります。工事工程がずれ込むとローン実行に影響するため、工程管理と資金計画を連動させます。
• 【顧客属性管理】
  相続物件などセンシティブ情報を扱う際は、社内の情報セキュリティポリシーを強化し、アクセス権限を細分化。マイナンバーや遺産分割協議書など機微情報を取り扱う場合は、暗号化ストレージの利用を徹底します。

不動産併設にはフランチャイズ加入がおすすめ

フランチャイズ本部は、遮熱・断熱塗料メーカーや太陽光パネル企業と連携した案件紹介サイクルを構築し、外壁塗装×不動産×省エネリフォームの三位一体モデルを展開しています。本部が提供するクラウドプラットフォームでは、ドローン外壁診断レポートから自動で販売図面やAI査定書を生成できるため、営業工数を大幅に削減可能です。さらに、重説電子化システムや反響管理CRMが標準搭載されており、宅建業務のコンプライアンスリスクを低減しつつ生産性を高められます。

まとめ

外壁塗装業が不動産業を併設することで、現場診断や施工で蓄積した建物データを資産価値向上と販売促進に直結させることができます。空き家管理からリフォーム、売買、定期点検までを一気通貫で提供する体制は、顧客にとって大きな利便性と安心感をもたらし、企業側には高単価案件とストック収益の双方をもたらします。補助金制度や省エネニーズを活用しながらワンストップサービスを実現し、フランチャイズのサポートで法規制・広告施策・保証制度を整備すれば、地域に根ざした外壁と不動産のプロフェッショナルとしてさらなる成長が期待できるでしょう。